ドネーションという試みについて

こんにちは、松本佳奈です。
急に朝晩寒くなって、慌てて布団を出しました。あれ?ついこの前しまった気がするけど?

山奥古民家生活も半年過ぎましたが、街に比べて気温が2〜3度は低いと思う。これから待ち受ける本気の冬がどれだけ寒いのか、ドキドキしています(ご近所の方はあまりの寒さに薪ストーブにしたと仰っていました。道も凍るので、家から出るのにスタッドレスタイヤ必須だそうです。ひゃー!笑)

初夏生まれのお子さんにとって初めての冬。たくましく育ちそうです。

さてさて、最近わたしのライブは、料金を『お気持ちドネーション制』にすることが度々あります。

ドネーション、というのは、演奏で心が満たされたなあと思ったその感動を金額にしていただく仕組みです。

入場の際に一律のお金をいただくのではなく、演奏が終わった後に金額を決めていただきます。

日本人は苦手な方が多いであろうこのシステム(笑)

「1000円以上のドネーション制」と言われると、「1000円じゃだめなのかな?」「幾らくらいが相場なのかな?」と、戸惑われる方もいらっしゃるだろうなあと思いましたが、あえて今年から積極的に取り入れています。

わたしはいずれ、自分のライブを、すべてドネーション制にしたいと思っています。
…それはなぜかというと…

話は5年前に遡ります。


その時わたしは以前結婚していた方とお別れしたばかりで、心身ともに、かなり疲れ果てた状態でした(離婚ってとってもエネルギーがいること!相手も相当疲れていたと思います)

ぽっかりと空いた予定。
何か今後の自分を大きく変えるために使いたい。
そこでわたしは10日間、山奥の寺院のような場所で、人と一切喋らず、インターネットも断絶して、座禅を組み自分の内面と向き合う時間を持つことにしました。

指導者がいるわけでもなく、ただひたすら朝から晩まで座禅を組み続ける日々。

誰とも喋らないということは、誰にも影響されない・誰にも気を遣わないということ。

わたしはいかに普段、人を気にして、自分を装って生きているんだろうかと思いました。
素のままの自分自身を長いことないがしろにしていたことにハッと気付いたのでした。

それは本当に大きな気付きでした。
まずは自分が何を感じているのか、どうしたいのか、それを自覚していないと、人と関わっても軸がブレて苦しくなってしまうんだ。

10日目に寺院を去る時、「あなたが恩恵を受けたと感じたぶんのお金を置いていってください」と言われました。ドネーション制です。
それは、たとえば「無意味だった」と感じたら、お金を払わなくてもいい。「ものすごく恩恵を受けた」と感じたら幾ら払っても良い、という自由でした。
インド発祥のこの寺院は、どんな事情がある人でも受け入れるという姿勢から、このドネーション制をとっていました。

わたしはその時、恥ずかしながら、片手で数えられるほどの千円札しか持っていませんでした。それが全財産でした。

帰りの電車賃を差し引いたすべてをお渡ししても、10日間ベッドで寝て、朝昼二食のごはんを食べ、シャワーに入った光熱費や食費を賄えないと思い、少なくて申し訳ないと口にした時、
「いいんですよ。100万円持っている人の100円と、100円しか持っていない人の100円は意味が違う。」
と言われました。

上手く言えるかわからないのですが

余裕がある人が多く払ってくれたお陰様で、今余裕がない自分がこの10日間を体験することができた、ということ。

世界はそんな風にして回っているんだということ。

わたしは必ずこの経験を生かして、歌という形で多くの人に還元しよう、ということ。

いずれお金に余裕が生まれたら、そのお金は他人のために使おう、ということ。

ありがたいなあ
という感謝の気持ち。

そんな気持ちが芽生えた、10日間の体験と、ドネーション制との出会いでした。

わたしが演奏活動をしているのは、「得意分野を生かして生計を立てていきたい」という想いが大きいのですが

願わくば、わたしと同じように
「人に合わせて、気遣いすぎて、空気を読みすぎて苦しくなっている」という人が、「素のままの自分自身に気付く」ことで心がふわっと楽になるような、そんな歌を歌えたら。そんな活動ができたら。

という気持ちでいます。



ドネーション制を取り入れたのはこんな経緯からでした。

現実的に、ライブを開催するにあたって施設代や光熱費はかかります。場所によってかかる経費が変わってくるので、ドネーション制にできる場所となかなか難しい場所はあります。
今のところ、最低限を賄うために「1000円以上のドネーション」とさせていただくことが多いのですが、理想は完全なるドネーションでライブを開催できるようになることかな。


とにかく言えるのは、
音源を聴いてくれたり、ライブに足を運んで下さる方のお陰様でまた次のライブが開催できるということ。活動の幅を広げることができるということ。
昨年から始めたファンクラブ「まつかな日和」にもたくさんの方が参加して下さり、お陰様で出産後もすぐに活動を再開することができました。

わたし、ときどき観覧無料のライブに出演することがありますが、ああいう時は主催の方が出演料を払って呼んでくださっています。本当に有難い。
そうやって色んな場所に呼んでもらえるのも、皆さんの応援のお陰様です。


支え合って生きている。
お金=想い
温かな想いの循環をつくっていけたらいいな。


久々に語りました。ここまで読んで下さりありがとうございます。
今日も素敵な1日でありますように!
愛を込めて。




まつかな日誌

まつかな日誌 〜シンガーソングライター松本佳奈 日々の徒然〜